先週の火曜日に行ったヨハネス・モーザーのリサイタル。
若いチェリスト(驚くほど長身だった!)の音楽に元気を貰った(ピアノ:若林 顕、トッパン・ホール)。 すばらしく良く鳴る、しかも引き締まったチェロの音。演奏姿が規格外なら、音だけでも規格外だった。(このチェロの相手を務めた若林さん、大変だったろうな…)
ただ、ショスタコーヴィチのソナタでは彼の音楽が曲と融和しない感があった。彼の武器の弓圧の強さも、過ぎると曲の内容を遠ざけてしまうようだ。
しかし、ベートーヴェン、ブラームス、武満と、意欲的なプログラムで充分楽しませてくれた。ショスタコーヴィチは私自身ちょっと苦手なのだ。今回の予習のために買ったソル・ガベッタのCDの同曲演奏でようやく少しそのような意識を払拭しかけたあたりの所だったのだ。
自ずとにじみ出てくる味わいのようなものはまだなく、しかし、欠点すら敢えて隠そうとしないような率直さの魅力。 何故か将来の円熟を信頼できる気がする演奏家だ。…今、早熟な演奏家が多い一方、自然な円熟が難しくなっている中で。
E-3-ZD14-54mmf2.8-3.5