どこかの小径で:音楽
2016-05-08T23:15:49+09:00
a-path
写真・音楽などなど
Excite Blog
ラ・フォル・ジュルネ
http://somepath.exblog.jp/25212883/
2016-05-08T20:46:00+09:00
2016-05-08T23:15:49+09:00
2016-05-08T20:45:56+09:00
a-path
音楽
6年ぶりに聴くラ・フォル・ジュルネ。
聴きものは色々あり、それぞれ楽しめたが、最後に聴いたユーリ・ファヴォリンという若手ピアニストによるケックランの「ペルシャの時」というピアノ曲集が特に良かった。
16曲からなる曲集はピエール・ロティの紀行文に基づくというが、淡彩で透明な叙情に満たされたケックラン独特の内省的な世界だ。
ファヴォリンの並外れた共感に支えられた演奏は圧巻、全曲を通じて一瞬も集中が途切れることがなかった。
全く知らなかった人だが、今後注目したいピアニストだ。
D7という小ホールで聴けたのも幸いだった。
]]>
ラドゥ・ルプー
http://somepath.exblog.jp/18175865/
2012-11-17T14:54:00+09:00
2013-09-22T01:14:22+09:00
2012-11-17T14:54:49+09:00
a-path
音楽
21年ぶりに触れる実演。前半がシューベルトの即興曲集D.935と、フランクの「前奏曲、コラールとフーガ」、後半がドビュッシーの前奏曲集第2巻全曲というプログラム。(アンコールは、ドビュッシー前奏曲集第1巻の「雪の上の歩み」とシューベルトの楽興の時第2曲。)
今回のツアーも佳境かと思われた頃に招聘元のサイトに不穏な情報が載り、実際に兵庫のリサイタルがキャンセルになる。ツアー最後の今回のオペラシティのリサイタルの決行が伝えられたのは前日だった。
当日… 曲目変更の知らせなどは出ておらず。ほぼ席が埋まっているように見えるホール、聴ける時に聴いておかねばという人が多かったのだろうか。暗く落とされた照明、正方形に並んで浮かび上がったその照明を見上げて待つ。
拍手を聞いて慌てて舞台に視線を移すとルプーが現れていた。
D.935の第1曲、気合を込めて始めたように聞こえたが、すぐに強弱及び速度のゆるやかな推移の音楽に移行する。ホールに音が馴染まない、音の立たない段階に対応した音楽と聞こえた。
全4曲が続けて演奏されたが、2曲目からは、たっぷりした湿潤な支えに冴え冴えとした高音が載った和音が驚くほどホールに浸透し始める。第3曲に至ってすばらしい音楽が聞こえてきた。曲集中一段低い印象の曲だったが、この日は違った。終盤の変奏に至って、速い渓流を眺めるように高音が煌くところ、その音の表情は最近のピアニストからは聴かれない生彩に富むもので、エトヴィン・フィッシャーとかシュナーベルといった往年の名手もかくやと思わせる。第4曲もほぼ、この好調が維持された。
フランクは初めて聴いたこともあり何ともいえない…。すばらしい響きは随所に聴かれた。
後半のドビュッシーは「ルプーのドビュッシー」だった。
最初の「霧」での文字通り靄がかかったような弱音を聴きながら、前回聴いた折にはこうした音をもっと多用していた(シューマンとブラームスで)のを思い出した。予想を超える強音の力強さもあり、音量のあまりのレンジの広さにとまどったものだ。当時は特にルプーのCDを愛聴していたので、何となく腑に落ちない思いも残ったものだった。
かなり遅いテンポのためか、感覚的に留まらず、思索的な「霧」。ただ、極端な弱音はこの曲以外はそれほど目立たなかった。シューベルト同様全曲が続けて演奏されたが、前半で集中しすぎたせいもあってか、曲の継ぎ目で客席がやや落ち着かない。全体の一貫した印象としてリズムの重さがあり、CDで聴いているいくつかの演奏(ルプーの録音は出ていない)とは違って聞こえる部分も多いことを感じつつ数曲が進む。
7曲目、「月夜の謁見のテラス」の終結部の響きが途方もなく美しい。それを引き継いでの「オンディーヌ」あたりが白眉だったか。数年前に同じホールで聴いたアンスネスの「オンディーヌ」とは全く違うが、感銘はさらに深い…
「交叉する三度」で、指の不調かと思わせる所があったが、「花火」まで弾き切った。
アンコールの「雪の上の歩み」がまた、めったにない体験だった。長い年月をかけて、木から落ちた枯れ葉が土になって堆積していく過程を音で経験しているような不思議な印象があった。再現ではなく、生成する音楽。たった数分の凝縮された時間…
過去の実演の印象のまま終わらず幸いだった。やはり、他に得難い個性を持ったピアニストだった。
行ってよかった。
]]>
バヴゼのバルトーク
http://somepath.exblog.jp/18088488/
2012-10-21T13:55:00+09:00
2012-10-21T22:26:53+09:00
2012-10-21T13:55:50+09:00
a-path
音楽
3曲それぞれが個性を主張し、楽しめる1枚だ。特に2番に魅せられ、繰り返し聴いている。
これだけ神経が行き届き、色彩豊かに聞こえるこの曲の演奏はこれまであったのだろうか。第1楽章のあっけらかんとした明るさにピアノの響きの繊細さ、オーケストラとの和やかささえある協調が加わった結果、連想するのはラヴェルのト長調協奏曲だ。中間楽章とのコントラスト、鮮やかな印象の転換にラヴェルのあの曲と同程度成功したのもこの曲くらいかもしれないし…
生年が6年しか違わないこの2人の作曲家の、ほぼ同時期に書かれた同ジャンルの曲(…いずれも1931年に完成)に親近性を感じさせられたのは、初めてのこと。
室内楽などでも経験したことだが、バルトークの曲の本来の姿に触れる今回のような出会いが今後も期待できそうだ。
]]>
久しぶりに、
http://somepath.exblog.jp/17605302/
2012-06-01T01:42:00+09:00
2012-06-03T20:40:41+09:00
2012-06-01T01:42:57+09:00
a-path
音楽
コンサートへ行ってきた。
5月29日、トーマス・ヘンゲルブロック指揮、NDR交響楽団のサントリーホールでの公演。
メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲(クリスティアン・テツラフ独奏)、ブラームスの交響曲1番ほかのプログラム。
ブラームスは良かった。
余りに通俗的過ぎて、集中して1曲聴き通した記憶がないくらいのこの曲だが、慣習的な、過度に情緒的な表現やテンポ設定を徹底して廃した上で、若々しく流動する音楽を創り上げていた。若年から壮年にかけての曲がかえって大家然とし過ぎているような作曲家のイメージは、過去の演奏スタイルの影響が大きい。新しい潮流の中での説得力のある演奏が聴けた。
今回の目的は、第一ヴァイオリン奏者のブリギッテ・ラングの演奏に触れる(演奏姿を見る)ということにもあった… というか、それがなければチケットを買っていない。何しろ、バルトークやヤナーチェクのソナタやブラームスの協奏曲で最も好きな演奏のCDはこの人によるものなのだ。
団員が入場してきた時に姿を認めたときは心底ほっとした(笑) 2人の主席コンサートマスターのうち、当日のコンマスはヴァーグナーだったが、彼の後ろで彼女は弾いていた。
この日のソリスト、テツラフのヴァイオリンは本調子ではなかった。こうした"一流のソリスト"という仕事の厳しさと危うさを強く感じさせた。そういうことを引き受けて立っているということも。
彼による、同じメンデルスゾーンの最新のCDを聴き直していると、なおさらそんな印象が募るように感じられた。
]]>
師走の光に
http://somepath.exblog.jp/16960621/
2011-12-17T12:47:00+09:00
2011-12-17T16:29:17+09:00
2011-12-17T12:47:52+09:00
a-path
音楽
デイヴィッド・ライヴリーのピアノによるフォーレの夜想曲集(ETCETERA)はそんな折にぴったりの音楽だった。夜想曲なのだけれど。
20年ほど前に録音されたこのCDに出会って7、8年経つだろうか…
全く私心なく弾かれているような昨今では聴かれなくなったピアノに、初期の曲から引き込まれていく。晩年の代表作、最後の第13番の集中度は凄いが、最初の曲から一貫する流れの中で弾かれているがゆえに一層感銘が増すのを感じる。
このような、人為の跡を全く感じさせない演奏はどうすればあり得るのだろうか。
ただ、この曲集にふさわしいことは確かだ。
]]>
トリオ・ダリのシューベルト
http://somepath.exblog.jp/16848272/
2011-11-20T14:07:00+09:00
2011-12-25T18:41:45+09:00
2011-11-20T14:07:49+09:00
a-path
音楽
D.898とD.929の2つのピアノトリオにアルペジョーネソナタとヴァイオリンとピアノのための幻想曲D.934を加えた4曲が収録された2枚組。(FUGA LIBERA)
この中で、私の偏愛の曲はD.898の変ロ長調のトリオだ。
前半の楽章、とりわけ第1楽章は類を見ない傑作だと思うが、なかなか良い演奏に出会わない。素人の耳にも本当に好きで演奏しているのだろうかと思うような演奏を結構聴いてきた。
このCDも、この曲の方が2枚目に回されていることから、あまり期待しないで聴いてみた。
ところが、良い方に予想は外れた。
問題の第1楽章では、特にピアノは場面によって様々な役割を果たすのだが、対応力がすばらしい。ヴァイオリンも自発性豊かだ。2人とも、魅力的なパッセージを新鮮に、スパークリングに聴かせる。チェロも引くところは引きながらも輪郭のはっきりした音で存在感を示し、リズムと推進力の醸成にも大きな役割を果たしている。
ほんの少し粗さもあるのだが欠点になっていない。展開部のいいところで編集の継ぎ目だろうか、ちょっと異音が混ざるのが残念だが… この曲の真価を明らかにした数少ない録音のひとつだと思う。
他の曲も聴いてみると今どきの室内楽らしさも顕著だが、D.929変ホ長調トリオの長大なフィナーレで曲の世界に引き込む力など、なかなか…と思わせる。機会があれば、是非実演で聴いてみたい演奏家達だ。ヴァイオリニストはラトヴィア人とのこと、それぞれ幅の広い活動をしているようだが、若い3人がこの先長くこのメンバーでの活動も続けてくれるとしたら楽しみだ。
]]>
シャルリエのヴィヴァルディ
http://somepath.exblog.jp/16715195/
2011-10-21T01:42:00+09:00
2011-10-23T16:04:42+09:00
2011-10-21T01:42:34+09:00
a-path
音楽
オリヴィエ・シャルリエのヴァイオリン、オーヴェルニュ室内オーケストラのヴィヴァルディの協奏曲集の新譜が素晴らしい。(TRANSARTレーベル) 今どき、モダン楽器のヴィヴァルディに注目する人は少ないかもしれないけれど、お勧めの1枚だ。
かつて実演で聴いたシャルリエの玲瓏たる音色に再び触れ得た気がしたのは、ライヴ収録ゆえだろうか。さらに、一聴して明らかなのは、オーヴェルニュとの共同作業が周到な準備に裏付けられたものだということだ。歌と引き締まった音響の両立が全ての楽章で貫かれている。その結果、「四季」として一括りに扱われることが多い4つの協奏曲がそれぞれに簡潔さと深みのある音楽として現れてくる。決して標題音楽的な要素を軽視しているわけではないが、様々な感情がより純化されて感じられ、時には作曲家の孤独感さえ伝わってくる。
併録の「調和の霊感」からの2曲も含め、演奏者の多様なヴィヴァルディ観が楽しめる昨今においても新鮮な演奏だ。
E-500=ZD25mmf2.8
]]>
ラングのブラームス
http://somepath.exblog.jp/15861468/
2011-04-24T01:13:00+09:00
2011-08-27T18:09:05+09:00
2011-04-24T01:13:07+09:00
a-path
音楽
写真は画面の下の方の桜の木がまもなく開花という頃のもの… そろそろ季節外れになってしまったようだ。
今回は音楽の話題を。
CDのご紹介…
ブリギッテ・ラング独奏によるブラームスのヴァイオリン協奏曲を最近よく聴いている。
オーケストラはバーデンバーデナー・フィルハーモニー、指揮はヴェルナー・シュティーフェル。タイトルは 5. Lions-Preisträgerkonzert となっており、“バーデンバーデンのカール・フレッシュ・アカデミーからマスタークラスの優秀な受講者に与えられる演奏機会”を録音したものらしい。
2002年の録音(Bella Musica)。ナクソス・ミュージック・ライブラリーにも入っている。
現在ハンブルクのNDRオーケストラの団員のこのヴァイオリニスト。以前に室内楽の録音についても触れたが、ここでの演奏で音楽性の懐の深さがさらに明らかになった。ライヴゆえか、曲の内容に迫ろうとする気迫が即興性に繋がっている様がダイレクトに伝わってくる。
オーケストラも好演。丁寧な合わせ方で、ソリストへの共感を感じさせずにおかない。
このCDをきっかけにこの曲の録音をいくつか聴き直し、シゲティの1940年代の録音(オーマンディ指揮のもの)にも惹かれるものを覚えたりしたが、どこか通ずるものがあるのかもしれない。
いや、演奏の外見上は全く似ていないのだけれど、精神的な親近性を感じさせるという意味で…
]]>
アバドのマーラー
http://somepath.exblog.jp/15542978/
2011-02-21T01:31:00+09:00
2011-07-03T10:43:46+09:00
2011-02-21T01:31:37+09:00
a-path
音楽
その中に未聴だったDVDがひとつ、アバドと “Lucerne Festival Orchestra” によるマーラーのリュッケルト歌曲集と第4交響曲。2009年夏のフェスティヴァルの折、コジェナーをソリストに迎えての演奏。
とりわけ期待していたのが、リュッケルト歌曲集。最近はaeonレーベルから出ているピアノ四重奏伴奏版のCDを楽しんでいたが、本来の版の良い演奏をやっと聴けた感がある。編成にヴァイオリン属の楽器が含まれない「真夜中に」などは特に、改めて原曲が新鮮だ。最後に演奏された「私はこの世に忘れられ」は、繰り返して聴いてしまった。
続く第4交響曲も今のアバドにぴったりの印象。こんなコンサートに行ってみたいものだ。
]]>
楽しみが…
http://somepath.exblog.jp/14803920/
2010-10-17T00:44:32+09:00
2010-10-17T00:44:32+09:00
2010-10-17T00:44:32+09:00
a-path
音楽
火曜日に行くはずだったラドゥ・ルプーのリサイタルが演奏者急病のため中止に。
ヤナーチェクの「霧の中で」、聴きたかったな。もちろんシューベルトも。
残念。
]]>
聴き飽きない曲
http://somepath.exblog.jp/14548156/
2010-09-07T00:41:00+09:00
2011-01-14T01:15:40+09:00
2010-09-07T00:41:31+09:00
a-path
音楽
(ええ、バルトークです。全然暑苦しくなんかないですよ、演奏次第では。)
前にも紹介したブリギッテ・ラングとイヴォンヌ・ラングの姉妹デュオの演奏はとにかく響きが美しく、表現がストレートで爽やかだ。
エスプレッシーヴォという言葉が発想記号としての役割を超えてよく使われるようだが、ここでの2人の演奏などはまさにエスプレッシーヴォなんじゃないかと、門外漢の私は思ったりする。
表情豊かであること自体が目的に陥っていない、本物のエスプレッシーヴォ。
サシュコ・ガヴリーロフとギリアド・ミショリの演奏(TUDOR レーベル)も好きだ。
ガヴリーロフの年齢を感じさせない若々しさ。
ピアニスト共々、経験に裏打ちされた表現の奥行きを感じさせ、味わい深い。
ギドン・クレーメルとユーリ・スミルノフの演奏(HUNGAROTON)と、イザベル・ファウストとフローラン・ボファールの演奏(harmonia mundi)もまた、それぞれ違った側面から曲に光を当てていて魅力的だ。
もっとも、この2盤は私が取り上げるまでもない有名な録音だけれど。
これだけ気に入った演奏があれば、聴き飽きなくても不思議はない(笑)
E-3=ZD14-54mmf2.8-3.5
]]>
今年も…
http://somepath.exblog.jp/13616820/
2010-05-05T02:10:00+09:00
2010-05-21T00:10:56+09:00
2010-05-05T02:10:33+09:00
a-path
音楽
終演11時過ぎの、最後に聴いたトリオ・ヴァンダラー。
3年前にもマルティヌーを聴いているが、今回はシューマンとメンデルスゾーンのそれぞれ第1番のピアノトリオを聴くことができた。
3人の名手のアンサンブルに圧倒されるのみ。シューマンの終楽章での凄い燃焼ぶりの、そのままの勢いでメンデルスゾーンの全曲を弾ききってしまった。安全運転などするつもりはさらさらない。ライヴでしかできない音楽を追求している。
特にラファエル・ピドゥーのチェロには唖然とするしかない。ヴァイオリンのヴァルジャベディアンの方が煽られている感ありあり。さすがにメンデルスゾーンの終楽章では少しだけ粗さが覗いたが、アンコールのメンデルスゾーンの2番の方のトリオのスケルツォがまた圧巻だった。この間CD(こちらもメンデルスゾーン)について触れたトリオ・ジャン・パウルのマルティン・レーアもそうだが、とにかく今は凄いチェリストを聴ける時代なのだ。
だが、さらに感銘を受けたのは、ダヴィッド・ワルターによる、オーケストラを弦楽合奏に置き換えた版によるショパンのピアノコンチェルト1番のソリスト、アンヌ・ケフェレック。
昨年の公演でのバッハにも感銘を受けたが、今回も…
どんなに粒が揃ったタッチでも、均質な美音で弾かれるとフレーズがのっぺりしてしまう。ピアノ演奏のスタイルも非西欧化が進んでいるのだろう、そういう演奏に違和感を感じなくなってきているのも事実だ。だが、彼女のピアノの音そのものか、アクセントの付け方か、何がどう作用するのか分からないが、フレーズがひときわ立体的に聞こえてくるのを聴くと、こうでなくてはならないと思えてくる。
アンコールで弾いた曲、ヘンデルのメヌエット(?)。
11月に予定されている王子ホールのリサイタルのプログラムに載っているト短調HMV434の曲だろうか。ケンプ編曲とあるが、連想させるのがまさにヴィルヘルム・ケンプの演奏。空間に音が染み渡っていく。音の伽藍とは全く違う奥行きの作り方。ケフェレックが聴かせてくれるのは、円熟した真の芸術家の音楽だと思う。
]]>
収穫
http://somepath.exblog.jp/13485066/
2010-04-21T01:32:00+09:00
2012-07-23T08:45:30+09:00
2010-04-21T01:32:33+09:00
a-path
音楽
まず、Avi Music というレーベルから出ている、トリオ・ジャン・パウルによるメンデルスゾーンの2曲のピアノ・トリオ。
2月2日の記事でも魅力的なトリオを取り上げたが、今回のトリオはとにかく呆気に取られるほど上手い。自在なアンサンブルは、シンフォニックとかコンチェルタントなんて表現が似合いそうなスケールも併せ持つ。
決して甘さに流れることはないが、歌の訴える力も凄い。特に2番の緩徐楽章を是非聴いてみてほしい。終楽章も無理に盛り上げようとする所など皆無で、着実な進行の中から圧倒的な迫力を引き出す。
もし実演で聴けたとしたら…
もう1つは、同じ2月2日の記事で触れた姉妹デュオ、ブリギッテ・ラングとイヴォンヌ・ラングによる近代のヴァイオリンとピアノのための作品集(Pan Classics)。
順に、ヤナーチェクのソナタ、バルトークの2番のソナタ、ラヴェルのツィガーヌ、メシアンの主題と変奏が収められている。
この2人の演奏には、西欧の伝統を受け継ぎ、本来の室内楽の地味な演奏に徹し、何より音楽の内容を掘り下げようという意志を感じる。それが全くユニークな結果を生むことに爽快さを覚える。
西欧の伝統と言ったが、ヤナーチェクとバルトークという中欧を代表する作曲家の作品の再現に必要な柔軟なリズム感には出色のものがあると思う。曲の並べ方も興味深く、曲の組み合わせに同質性(例えば、バルトークとラヴェルで言えば構成面とか)、あるいは同質性の中での対比を見出しているようだ。
バルトークのソナタなど、これまで親しんできたクレーメルとマイセンベルクの余裕綽々の演奏と比較して、聴き始めは線が細いようにも感じるが、聴き進むにつれてその表現の強靭さに気付かずにはいられなくなる。弱音がこちらに浸透してくる。そして、深く余韻を残す。
ヤナーチェクの終楽章の緊迫感… 。 ツィガーヌにこれだけ充実感を与えた演奏も稀だろう。
2枚ともめったにない収穫だった。
E-500=ZD25mmf2.8
]]>
ホルン・トリオ
http://somepath.exblog.jp/13319257/
2010-04-05T23:01:00+09:00
2010-04-06T23:09:43+09:00
2010-04-05T23:01:52+09:00
a-path
音楽
今日は音楽の話題を。
小菅 優のピアノ、ラデク・バボラークのホルン、豊嶋 泰嗣のヴァイオリンによる室内楽のコンサートに行ってきた。(3月20日、彩の国さいたま芸術劇場 音楽ホール)
ホルンとピアノのデュオやヴァイオリンとピアノのデュオも楽しめたが、最後の(ようやく出演者が揃っての)ブラームスのホルン・トリオに感銘が集約されるコンサートだった。
この曲は長いこと、私にはあまり良さが分からない曲だった。でも今回の演奏では、30代前半の作曲家らしい、かなりの野心作として伝わってきた。
どことなく三者が融合しない状態がずっと続いていく。ホルンやヴァイオリンが牧歌的な旋律を奏でている時ですら、それぞれが微妙に距離を置いた緊張を孕んだ状態なのだ。
第1楽章など、ピアノは何か目立たない役回りのようでいて、その実最も存在感がある。背景に回る場面が多いにもかかわらず。他の楽器に釣られるかのように音量を増す時も、なぜか耳を引き寄せるピアノ… (奏者の技量の話ではない。)
このような、距離感や「ずれ」を伴う緊張の持続による効果はブラームスのどの曲でも感じられるものだ、思い起こしてみれば… でも、この曲ほどそれを強く感じさせる曲もあまりないのではないかと思った。
結局、第1楽章がその最たるものだが、後の3つの楽章にも通底しているものを感じる。
今回の演奏を聴いて、やっと曲のイメージがつかめてきた気がする。
聴いた後、何ともいえない味わいが残ったが、それは満足できるものだった。
もう少し時間を置いたら、手持ちのCDを改めて聴き直してみようと思う。
]]>
室内楽
http://somepath.exblog.jp/12763986/
2010-02-02T00:53:00+09:00
2011-04-18T00:24:51+09:00
2010-02-02T00:53:35+09:00
a-path
音楽
最近、室内楽のCDに収穫あり。
[ Ponti, Zimansky, Polasek Trio による、ドヴォルジャーク3番とブラームス1番のピアノトリオ。 (Dante) ]
Un-edited Live Performance とある(笑)
これらの曲がこんなに楽しんで演奏されているのを聴くのは久しぶり。
綺麗に整った演奏ではないのに、なぜか澄んだ味わいがある。
[ Brigitte Lang と Yvonne Lang という姉妹デュオによる、ブラームス2番と R シュトラウスのヴァイオリンソナタ、シェーンベルクの「ピアノ伴奏を伴ったヴァイオリンのための幻想曲」他。 (Claves) ]
シュトラウスを目当てに買ったら、ブラームスも素晴らしかった。
ヴァイオリンの歌い方には魅了されるし、ピアノの協調ぶりも見事。ブラームスの最初の2つの楽章とか…
終楽章も音楽を動かしたがる演奏が多いが、その誘惑に負けずじっくり聴かせる。
極めて器楽的な発想が根底にある歌曲がドイツ・リートだとすれば、ここでの2曲のソナタ演奏の流儀はドイツ・リート演奏に接近している。
いや、そういう(忘れられていた)流儀を取り戻したというべきか。
シェーンベルクも美しい曲で、他の演奏も聴いてみたいと思わせたからにはこれも良い演奏だろう。
E-500=ZD25mmf2.8
]]>
https://www.excite.co.jp/
https://www.exblog.jp/
https://ssl2.excite.co.jp/