2008年 07月 31日 ( 1 )

好きな曲(3)

 また唐突ですが、好きな音楽の紹介です。
 フランク・マルタンの協奏的小交響曲。

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 フランク・マルタンは1890年に生まれ1974年に亡くなったスイスの作曲家。協奏的小交響曲は、この大家の代表作のひとつと目されている。この曲も前回のラヴェル同様、演奏時間は20分位。
 チェンバロ、ピアノ、ハープを独奏楽器とし、弦楽オーケストラを対置させたコンチェルト・グロッソのような形をとっているが、とりわけチェンバロとピアノが活躍する。
 そもそもチェンバロとピアノを両方使うという着想が並外れているが、チェンバロの冷たく柔らかい響き、そして音量の相対的な弱さの絶妙さが大きな役割を担っている。その例は枚挙にいとまがないが、第1楽章の弦楽のみの序奏を受けて主部の開始を告げる部分の見事な効果、終楽章の主題の繊細で苦味のある行進のリズムの味わい、さらに終結部の天国的な響きを特に挙げておきたい。もちろん全体の内省的な印象には弦楽の果たす役割も大きく、第1楽章中ほどの緩徐な部分の美しさなど息を呑むほどだ。 
 擬古典的な器に盛られた多彩で驚きに満ちた響き、緊密な構成… このような、自身の理想をつきつめる姿勢の厳しさが感覚の喜びと矛盾せずに実った曲に出会うことは少ない。もっと聴かれていい作曲家だと思う。

 CDは少ないが、ジョルダン指揮スイス・ロマンドにジャコッテ(cemb)らが加わった演奏が Cascavelle というレーベルから出ており、良い演奏で渇きを癒してくれる。



E-3=14-54mmf2.8-3.5
by a-path | 2008-07-31 11:21 | 音楽 | Comments(0)